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2025をつくる人たち

たむじょーさん

ランニング×コメディYouTuber

たむじょー(ランニング×コメディYouTuber)|お笑い時々ガチ⁉ YouTuberが届けたい「ランニング」のその先

2024.02.07

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“元箱根駅伝ランナー”としての強みを生かし
唯一無二のキャラクターで陸上界をにぎわす異色のYouTuber。
選手への密着、ガチの記録挑戦、熱い友情物語・・・?
いま注目の『たむじょー』が見据える、これからとは。

 

「箱根駅伝に出たYouTuber」
大学卒業と同時に始動

―ランニングとコメディをミックスしたYouTuberになろうと決めたわけは?

たむじょー 小学生のときから箱根駅伝にすごい憧れと、「出たい!」という思いが強くあったんですね。そこからずっと陸上ひとすじで大学までやってきたんですが、大学2年のときに箱根駅伝の8区を走らせてもらって・・・。子どもの頃からの夢だった箱根駅伝を実際に走ることができたし、ホントうれしかったんです!!

 そのあと就職ってなったときに「やりたいなあ」とピンっとくる職業がなくて・・・。実業団っていう道もあったんですけど、選手としてのモチベーションが上がらない状態で行くのも迷惑がかかってしまうし、「就職どうしようかなあ」って思ってました。 

―その中でYouTuberが選択肢に?

たむじょー いざ就職って考えていたときに、「YouTuber」っていう職業があることを知って。その頃にちょうどYouTuberの認知度がどんどん上がってきてたんですよね。ぼくは小学生の頃からお笑いがずっと好きで、自分で動画を撮ってSNSにアップしたり、友だちと一緒に観たりするのが趣味だったんです。「それが仕事になる職業ってなんかいいなあ」って直感的に思ったんですよ。そこで、「箱根駅伝に出たYouTuber」というのが唯一無二の存在になるんじゃないかと思い、2020年3月20日、大学卒業と同時にYouTuberデビューしました!

―YouTuberになるという後押しになった出来事や影響を受けた方は?

たむじょー 中学時代に競技面で悩んでいて、なかなかやる気が出ないなと思っていたときに、お笑いを観て心から笑うことができたんですよね。気持ちが和らいだというか、そこから「またがんばってみようかな」と思えて。ぼくもそういう存在になりたいなって。
 ぼくのYouTubeにランニングだけではなく「コメディ」を入れるのは、ぼくが救われた「お笑い」をミックスすることで、それを観て「またがんばろう」って思ってくれる人を一人でも増やせたらっていうところからなんです。

―走ることのどんなところに一番の魅力を?

たむじょー 大人になるにつれて、目標を持つことや、目標に向けて挑戦したり何かに取り組むことって、だんだん減っちゃうように感じるんですね。でもランニングだったら一人で手軽に始められるし、ほかの人と競う部分もありますけど、自分の記録との闘いもあるので。目標の持ち方や、その楽しみ方を人それぞれに探っていけるのがおもしろいんじゃないかなって。
 自分の記録にチャレンジして、自己ベストを越えたときってホントにすごくうれしいんですよ! その瞬間がやっぱり“走る”ことの一番のおもしろさです。だから、「自分の成長」や「自分頑張ったな!」っていうのがタイムや距離で、目に見えるカタチで実感できるのがランニングの魅力のひとつだなって思いますね。

 

名だたる選手の密着やガチンコレース
縁を大切にして生まれた斬新な企画で認知度が上昇!

―日々配信をされている中で「コレは神回だ!」という動画は?

たむじょー そうですねぇ・・・。たくさんあるので選ぶのは難しいですけど、ひとつは、世界で活躍されている田中希実選手の合宿参加シリーズですね。大事な大会前の合宿に参加させてもらったんですけど、トップ選手のガチな裏側はもちろん、他のメディアでは見られないかもしれない「ありのまま」の雰囲気を見てもらえるのが、神回だなって思います。


田中選手のプライベートな一面も引き出している貴重な密着シリーズ
《【1日密着】田中希実選手の日本選手権前の合宿に1日密着!東京オリンピック入賞選手の1日の過ごし方とは?【1500m日本記録】【陸上競技】》

 あとは、男子800mの元日本記録保持者 横田真人さんとの対決シリーズですね。横田さんが代表を務めるTWOLAPS(トゥーラップス)が開催している大会で、800mをガチ対決する動画です。ぼくは長距離がメインなので800mは専門外なんですけど、オリンピックにも出場された横田さんとのレースで、常に僅差で横田さんが勝ったりぼくが勝ったり・・・。そのレースでぼくが出した1分51秒っていうタイムが結構速かったこともですが、オリンピアンやすごい経歴の方々とも戦えていることに、ガチで陸上やってる方からたくさん反響をいただけたんですよね。その「ガチ」の要素で、ぼくと一緒にワクワクしてもらえたり、感動してもらえたっていうのが、多くの方に観てもらえた要因じゃないかなと思います。


専門外の中距離での激戦と好記録が、ガチ陸上ファンからの評価へ
《【神回】YouTuberがオリンピック選手と公認大会で800mガチ対決してみた!衝撃の結末が!?【陸上】【ランニング】》

―動画をつくるにあたって、どんな点にこだわりを?

たむじょー 選手やチームに潜入して密着・・・っていう動画は、かなり気合を入れていかないといけない、というのはありますね。成功させることによって、信頼につながるものだと思っています。密着させていただいた選手やチームからの信頼はもちろんですし、視聴者の方々にとっても、「メディア」としての信頼につなげられるものだなと。
 そういった意気込みはありつつ、ふだんは見られない練習風景だったり、選手のありのままの様子だったりが観られるのが「たむじょー」の強み。ほかのYouTuberさんではなかなかできないようなことができていると思いますし、開設4年目を迎える2024年はもっといろんな企業やチームの良さを広めていきたいなという気持ちはありますね。

―いろんな選手やチームとコラボされていますが、最初はどのようにしてつながりを?

たむじょー YouTuberを始めた1年目に、TWOLAPSの田母神一喜(たもがみ・かずよし)選手が、代表の横田さんとつなげてくださったのがきっかけでしたね。田母神くんとは高校のときに、インターハイで行った現地のホテルがたまたま一緒で。田母神くんはもともと1500mで日本一にもなってる有名選手だったんですけど、ホテルのエレベーターで一緒になったときに声をかけて、そこから仲良くなって・・・。
 そんなつながりがあった中で、コロナ禍でも「陸上界をもっと盛り上げていきたい」とTWOLAPSがオンラインの大会を開催するとなって。それをどうやって広めるか・・・と試行錯誤されていたときに、田母神くんがYouTuberのぼくを、横田さんにつなげてくれたんです。そのオンライン大会で横田さんと初めて800mを対決するとなって、そこでなんと勝ってしまったのが衝撃を生み(笑)、話題になったこともあって大会も成功につながったんですよね。そこからTWOLAPSとのご縁が生まれ、チームを訪問した動画がとても反響があり陸上界に広まって、どんどんつながりが広がって、いまに至ってるって感じですね。

―「田母神くん」のおかげですね!

たむじょー そうですね(笑)。あとはコロナ禍だったということも、振り返ると大きかった。オンラインで大会をやろうなんて発想もコロナ禍だからこそですよね。選手時代からのつながりから生まれたご縁ですが、本当に巡り合わせだなと思いますし、いろいろな奇跡が重なって・・・という感じでしたね。

―田中希実選手とはどのようなきっかけから交流を?

たむじょー それもTWOLAPSが開催する大会に、田中選手が出場されたのがご縁なんです。そこでご挨拶した際に教えていただいたのですが、実は田中選手のお母さんがぼくのYouTubeをかなり観てくださっていて! それで田中選手もたむじょーのことを知ってくださっていたんですよね。そのときのご縁から、田中選手からも「ぜひ一緒に走れたら」と言ってくださったこともあり、合宿への密着が実現したかたちでした。

ー始めた頃は試行錯誤を?

たむじょー ランニングって外でやる企画ですよね。でも、ぼくが始めた2020年の3月20日ってちょうどコロナ禍になった頃で、自宅待機のときだったんです。その事態を想像してなかったんで、最初にやろうと思っていた企画ができなくなっちゃって・・・。正直どうしようって感じではあったんですけど、それも奇跡というか、良い方向に動いて。外に出られないなら部屋の中で撮れる企画しかない。ぼくの学生時代の経験や、部活でやらかしたり怒られた話、「陸上あるある」を話したりしたら、それが意外と観てくださる方が多かったんですよ。
 「たむじょーってこういうヤツなんだ。オモロイじゃん」っていう、自分のキャラをその期間で視聴者に植えつけることができた。自宅待機なのでYouTubeを観る方が増えていた頃で、一気に認知度が上がっていって、開設2か月でチャンネル登録1万人に達したんです。最初に思い描いていた企画はできなかったんですけど、コロナ禍だったからこそ、いいスタートダッシュが切れた感じでしたね。

―逆転の発想というか、逆境を強みにできるんですね。

たむじょー そうですね。YouTubeを始めて1年目のびわ湖毎日マラソンでも、重めのケガをして大会1週間前に治ったような状態で、それまで一歩も走らずにいたんですが、残りの1週間で練習して目標を上回る好記録を出せたんですよ。それがすごい反響があって。そういう逆境のときこそ力が出るなって思いますし、「これで結果出したら逆にすごいんじゃね?」っていうのはありますね!

逆境を味方にし、縁をつかんでいったからこその「たむじょー」

起業! 海外進出! あのマラソン選手との共演⁉
たむじょーが目指すこれからの「たむじょー」

―たむじょーさんの今後の展望は?

たむじょー いま考えているのが、小学生や中学生が参加できるクラブチームをつくること。部活動がなくなってきて走る機会が減ってきてしまっている現状に、ぼくらが走れる環境を提供できるようになりたいんです。あとは、「マラソンで〇時間切りたい!」など目標を持って取り組まれる市民ランナーさんを、サポートできるチームをつくることですね。自分が教えたりアドバイスをすることで目標を達成したり、子どもたちには「箱根駅伝に出場する」など夢を持つことにつながったらうれしい。だれかのサポートをできるようなチームになりたいです。
 これらを実現させるにはいまの3人の体制のままでは厳しいなと思い、会社として動かしていこうとなったんです。3月20日、ぼくらがYouTubeを開設した節目の日に起業しようと思っています。

―活動の幅を広げられるんですね。

たむじょー 子どもたちが大人になっても「走りたい」と思えるように。そういった環境を整える、サポートしていけるチームにもなっていきたいなっていう思いが強くなったんですよね。

―YouTuberとしても、よりビジョンが大きくなった?

たむじょー そうですね。ぼくのYouTubeがある種の公式的なメディアになっていけたらと思っています。
 まだまだメディアに取り上げられることが少ない陸上界の中で、企業や学校、選手たちを知ってもらうチャンスを増やしていきたい。密着などの企画を通して、普段見ることのできない陸上選手やチームのリアルを伝えることで、「この大学や企業に入りたい!」と思ってもらえるきっかけをつくっていきたい。ぼく自身が憧れて目標を持てたように、たむじょーYouTubeから、これから走り出す夢や目標を見つけてもらいたいですね。そういう意味で、2024年は「たむじょー」のメディアとしての価値を高めていくことで、企業や学校、選手にとって、もっとプラスに働ける存在になっていきたいです。

―そんなたむじょーさんが今後コラボしたいと感じているランナーは?

たむじょー そうですねぇ・・・。(だいぶ悩んで、)大迫傑(おおさこ・すぐる)選手ですね。大迫選手は、実業団をやめてアメリカへ行って・・・、陸上選手として新しい道を切り拓いていった方ですよね。その決断には、想像できないような、相当な覚悟があったはずです。方向性は違うんですけど、ぼくもいままでにない道を進んだという実感があって、「決断」という意味では少し似ているような部分もあるんじゃないかなと思って・・・。「大迫選手はどういう思いで走られているのか」っていうのを、実際に観てお話を聞いて、ぼくだからこその伝え方ができるんじゃないかなと思うんです。
 ただ、大迫選手もご自分のブランド価値があるので、他の方のチャンネルに出るのがいいのか、メリット・デメリットを判断されますよね。そのときに、しっかり価値を感じていただけるような、対等に認めてもらえるような、いつかそういう人物になりたいんです。

未来を語るとき、いままで見せていなかった側面も

―2025年に東京で世界陸上が開催されますが、やってみたいことや期待していることは?

たむじょー 日本のランニングYouTuberとして、海外の方々に「現地に観に来てください!」っていう声かけをしていきたいと思っています。「たむじょーがいるから日本へ来たよ」っていう人が増えたら、ぼく自身もうれしいですしね。海外の人にもたむじょーの認知度を高めていきたいし、そうなってくると自分も海外に行く必要があるので、海外活動も増やしていきたいというのはあります。
 昨年から、インスタグラムの英語アカウントも開設しているんです。2ヶ月くらいでフォロワーも2,700人ぐらいですが、少なからず海外の方たちが観てくれているっていう実感はあるので、これからもっと数をのばしていきたいですね。日本のみなさんも、一旦どんなものか見てもらえたらと思うので、ひとまずフォローしてみてください(笑)。

―2025年の世界陸上が東京で開催されるにあたり、たむじょーさんからメッセージを。

たむじょー 世界のトップ選手たちが集まってくる場ですし、こんなチャンスは生きている中でそうそうありませんよ!この機会にぜひ国立競技場に来て、この瞬間しか観られないトップパフォーマンスを目に焼き付けてほしいです。
世界陸上を盛り上げるためにたむじょーYouTubeもより一層盛り上げていくので、ぜひチャンネル登録とグッドボタンよろしくお願いします!(笑)

photographs by 椋尾 詩

たむじょー/1997年 東京都生まれ
ランニング×コメディYouTuber

小学4年生で始めた陸上競技。転機は中学3年生の夏、「親友と一緒に駅伝に出たい!」という一心で家族を説得して転校。関東駅伝6位入賞の結果を出し、陸上の名門校である市立船橋高校へ進学。2年生時の県駅伝では5区を走り2位入賞、全国高校駅伝行きを決めた。帝京大学に進み、大学2年生では中野孝行監督の指導=中野マジックにより、日本インカレ3000m障害物で5位入賞、そして夢だった箱根駅伝では8区を任される。
実業団からスカウトの声もあった中、エンターテインメントの道を志し大学卒業と同時にYouTuberに。「ランニング×コメディ」をテーマに、元箱根駅伝ランナーの経験はもちろん、持ち前のキャラクターを全面に生かした動画は好評を博し、チャンネル開設から3年半で登録者数11.6万人超。陸上関連のイベントにも多数出演するなど、陸上界で知る人ぞ知る活躍を見せる。

Instagram:tamujo0402
X:@tamujo0402
YouTube:たむじょー Tamujo

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